犬と散歩

起きて早々、えらく鬱だったので久しぶりに散歩。
今日は暖かくて絶好の散歩日和。
久しぶりに近所を廻る。
近くの神社を通る。何か記憶に残る神社と違う。
木が無い。
そこには昔、大きな楠が立っていた。その立っているはずの楠が無かった。代わりにあるのは大きな切り株。いや、切り株と言えないほど低く駆られた楠の根。
何の為に刈ったのかは知らない。
もしかすると、人助けに伐らざるを得なかったのかもしれないし、単に視界を広げるためだったのかもしれない。ただ、それがどんな理由だろうと残念に思う。あれほどの楠となるのには何十年要したか分からない。
呆け、切り株らしきものを見る。空虚でよく分からない感情に満たされていく。
畜生。鬱だ。
そんな飼い主の気持ちを察したのか、犬は切り株らしきものへと近寄る。
そして脱糞。

……
畜生。鬱だ。
始末(糞の)をしている最中も仰向けになって横回転し、背中を掻いて、悦楽に浸る犬。


……
………
散歩ついでに免許証をコピーするため、サンクスへ。
コピーしている間、外で繋いで置いた犬が吼えまくる。それは悲鳴染みていて、店員に訝しげに見られる。
畜生。手元が狂うじゃねぇか。
案の定、コピー失敗して余分に金を払う。そそくさと退散。
犬は軽くパニックを起こして飛びついてきた。
畜生。可愛いじゃねぇか。
でも服を汚すのは勘弁してくれ。
家に着いて犬を鎖に繋ぐ。時計を見て、二時間近く散歩していた事に気付く。
ほどよい疲れ。気分も出発前よりは清々しい。今日はよく眠れそうだ。