ゴールデンスランバー

あらすじ

首相公選制が存在する現代。仙台市では金田首相の凱旋パレードが盛大に行われていた。それと時を同じくして、青柳雅春は、数年ぶりに旧友の森田森吾と再会していた。森田の様子がおかしいことを訝しむ青柳に、森田は恐るべきことを告げる。あまりにも巨大すぎる陰謀から、青柳は逃げ切ることはできるのか。

Wikipediaより

感想

伊坂幸太郎の本は初めて読みました。
隙の無い面白さ。これは誰が読んでも面白いだろうなと思いました。


たいへんよくできました。


話の構成が

  • 事件のはじまり
  • 事件の視聴者 
  • 事件から20年後
  • 事件 
  • 事件から三ヵ月後

となっていて、主な内容となる「事件」に入る前に、表立った事実が「事件から20年後」でまず入ってきます。
ええー、なんという救われない結末なんだ!と、とりあえずの事件の結果突きつけられます。で、その真相が「事件」の章でわかるという仕組み。
途中で何度も前後を読み返してあぁ〜そーいうことっすかwwwとにやにやしっ放しでした。
伏線が丁寧に張られ、そして綺麗に回収されていく心地よい感じ。中盤〜終盤は本当に物書きってすげーなーと改めて実感できます。
冒頭の全然関係ないだろうと思っていた人物にまで事件が絡んでいった時にはそこまでいくのかよと。


舞台となるのはセキュリティポッドという監視システムが導入された仙台。ほとんど現実と似通っていてるため、ドラマとか映画映えするんじゃないかなと思います。
警察がやたら乱暴だったり、ショットガンが出てきたりどこかつかみ所の無い殺人鬼が出てきたりとちょっと非日常な感じがなんだかエロゲっぽいなと感じました。ナイフとショットガンの立ち回りとかねーよwwwとか、国家の陰謀かっとか。


誰しもが持つ懐旧の情がこの本のテーマ。*1
昔を懐かしむ登場人物同士の掛け合いがやたら印象深いです。
「ロックだぜ」
「痴漢は死ね!」
「森の声が聞こえる」
「で、お前やったの?」(シリーズ
登場人物の魅力もさることながら、その台詞も馬鹿っぽいようで深いのがじわじわきます。
で、忘れた頃にぽっと台詞置いて、懐かしく感じるような演出にしてるのが憎いなーと思いました。
く、くやしいっいつの間にか読んでるこっちまで懐かしがらされてるじゃないkビクンビクン。


救いの無い結末が先に提示されちゃってるのでどう収拾つけるのかと気になってたラストも良かったです。
人によっては意見が分かれそうだけど、これはこれででという。


読んでる最中は絶望的な状況に追い込まれた主人公を見てハラハラしまくりでした。でも、今思い出しながら文章書いてるとどこかこうあったかくてゆるふわな感じ。昼過ぎの庭先で木漏れ日の下にうたた寝をしてる犬とかその辺。


思い出に残るぞ、ゴールデンスランバー
ああ、ほんとにロックだぜ。*2

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

*1:ロックだぜ

*2:岩崎最高!