すべてがFになる

ネタバレ有りの雑感


面白かった。私的に初の犠牲者登場!の二章の最後が一番盛り上がりました。
なぜか謎解きの辺りではあまりどきどきしなかったのが不思議。トリックは置いといて、犯人のめぼしが早々についてしまったせいかしら。あからさまに事件にかかわってこない空気なくせにキャラ立ちしてて、こいつ何のためにでてきたんだろう?と考え、逆に重要人物に違いない!という。
謎解きもこの密室トリックはどうかなーと思いました。
特定のもので注意を惹きつけている間に隙をついて脱出するという方法。特定の心理状況と現場状況においての人の行動は決まっているとかそういう裏付けがあるとして、でももし誰かがその特定のもの意外に注意を払っていたら失敗するんじゃないか。天才が長年計画してたのにそんなあやふやな可能性にかけちゃっていいのか!と思ってました。
最近読んだクビツリハイスクールの密室のが単純だけど効果的だなと思いました。


あと、予定は違ったとしても、結果として子供を手にかけた真賀田四季。四肢→ウエディングドレスとか想像するとかなり猟奇的でうぐっとくる内容。でも高潔でどこか惹かれてしまうキャラクター。
途中まで死んでたくせに最後に一気に読者の心を奪っていく。上手いこと書いてるなーと思いました。
きっと主役の犀川先生に崇拝させることでそんな気にさせられてるの違いない。


あと、いちいち犀川先生の台詞がかっこよくて好き。

「僕ら研究者は、何も生産していない、無責任さだけが取り柄だからね。でも、百年、二百年さきのことを考えられるのは、僕らだけなんだよ」

ああ、いい。こんなことはさらりと言ってのける助教授についていきたい。かっこよすぎる。
解説を見た感じ、続刊でもそれっぽい台詞を言ってるのでこれは読まなければ。

すべてがFになる (講談社文庫)

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