スカイクロラ The Sky Crawlers 見た

糞ネタバレ注意。

crawl・er
━━ n. はう動物; 〔英俗・豪俗〕 へつらい者; (普通pl.) 幼児のはいはい着.
crawler lane 〔英〕 (高速道路などの)低速用車線.
crawler tractor 無限軌道トラクター.

The Sky Crawlers
はってるというか足掻いてる足掻いてるという感じでした。
全然前情報を仕入れてなかったので面白かったです。公式の予告ムービーのネタバレが酷いので注意。見る予定の人は見ない方が絶対良いと思います。

世界観

絶対的な平和が実現された世界。しかし、人々が平和という概念(というかありがたさ?)を実感できるようにショーとして行われる企業同士の戦争(ごっこ)。
世界のどこかで確かに戦争が起こっている。そこでは実際に人が死んでいる。
しかし、私達は死んだりする戦争に巻き込まれていない。今ある平和は大事なことだなぁ、と一般人は感じれるように。
そのおままごとな戦争で戦うのはキルドレと呼ばれる歳を取らない子供達。彼らは日々仕事で殺し合いをし、それに疑問を持ったり持たなかったり。戦死したとしてもクローン再生が行われ、どちらかの企業が倒れるということは無い様子。実際に主人公は戦死した隊員とうり二つの性質を備えた隊員の配属を体験し、自身も無意識に以前の記憶をなぞっている(細かいなぁ。


原作も前情報も仕入れていない状態だったので、映画を見ながら独特の世界観を理解しようとがんばって見てました。
現実とは似通っているけどどこかおかしい、違和感のある世界。
水素と優一が惹かれあってる理由。墜落現場での草薙水素の激昂。戦闘管理委員会。しつこいくらいの癖の演出。フラッシュバックのような描写の時間経過のシーン。
あとあと、全容をなんとなく理解してみると、ああ〜そういうことだったのかと納得します。


キルドレ達は戦争という舞台で戦って、恋をして、友情を育んで、死んで、また生まれてという無限の道化を演じ続ける存在。
うおお、切ない!
どうみても人柱です。本当にありがとうございました。

整備士代表でおばちゃん(大人)が出てくるのですが、どこか疲れた感じで描かれてました。おかしいと頭で理解しつつも世界が必要としている戦争。企業社員としての立場。死んでは似た顔でやってくるキルドレ達。そら疲れるわ。

草薙水素の戦い

目線があらぬ方向向いていたり、無機質でどこか壊れている様子で描かれています。仕草の細かさでキャラクタを表現しまくり。
色んな属性持ちの彼女ですが、一番キてる台詞が部下と一緒に遊びに行くスイーツ達を見て一言。

ああいう女達を集めてボーリング球で倒したいわね

うろ覚えなので残念なんですがかっこよすぎて吹きました。
毒舌ババア!結婚してくれ!


キルドレとして長い時を生きてきた草薙水素にとって、彼女の理解した世界は絶望そのもの。
異様なまでのティーチャーへの固執はその絶望しかに世界を切り崩す一筋の光みたいに見えてるせいなのかなーと思いました。


ラストのシーンでたばこを吸いそうになって、しまったのは世界と戦う決意の表れに違いないと思います。
新たに配属された主人公のクローン(たぶん)。彼に向かっての出迎えの言葉が冒頭より意思が篭っているように感じました。


スカイクロラの主人公は草薙水素
異論は認める。

ティーチャー

企業間を移ろうエースパイロットで大人の男。
友達からペースメーカーとしてバランスを保ってるんじゃね?という意見があったけど確かにそんな感じなんだろうと思いました。
子供達(キルドレ)が勝てない(と思い込まされてる)絶対的な存在。ティーチャーってまた名前がえげつない。
詳細はおろか、パイロットの顔すら出てこなかったんでもう無人まであるとか勝手に思ってました。
草薙水素は元上司と言っていたけどその記憶すら怪しい、キルドレ的に考えて。

空戦がやばい

世界観を読み解いて楽しむのも楽しいのですが、スカイクロラは映像もすごく綺麗でした。
特に戦闘シーンは圧巻。
ちょっと旧世代の戦闘機を思わせるデザイン、機銃でのドッグファイト。ハァハァしっ放しでした。
戦闘機好きには堪らないと思います。

音楽もやばい

OPから流れてくる切なくて美しい音楽。
あれ、この感じどこかで…?と思ったら川井憲次。そうか!サンサーラナーガか!
無常観、きれいな欝。そんな感じ。
押井守とのタッグは有名なんですね。知らなかったです。

たばこが美味そう

しょっちゅうたばこシーンが出てきます。
この映画を見た中高生がたばこに手を出さないかと心配になるくらいです。


なんでも原作者が好きらしいとのことですが、僕は大人になれないキルドレ達の背伸びの一種なのかと思いました。
それにしてもウマそうに吸いやがります。一服一服。

寝そうだった

疲れてるせいもあってか、僕は映画を見てる間に何度か寝そうになりました。*1
そう、この映画、静的なシーンが多く*2中だるみを少し感じました。
間の持たせ方を贅沢に使っていて、いいなぁと思う反面、刺激的とは言えなかったと思います。
後半は明らかになってくる真実(主人公と視聴者にとって)と緊迫したシーンからの怒涛のラストと、ずっと興奮してました。

声優

最初は主人公の声に肩透かしをくらったものの、これはこれでいいんじゃないかと思いました。
むしろキルドレという役を考えるとはまり役だったといえます。
抑揚が少なく、どこか死んでるのか生きてるのか分からないような声。
いや、多分わざとこういう声なんだよ。きっと。

面白かった

どうにもならない世界に置かれた少年少女の生きる戦いの物語。
そんな感じでまとまるのかなと思います。


間が長かったり、初見では分かり辛かったり(それがいいんだな)しますが僕はとても楽しめました。


プロペラ戦闘機が好きな人。
無常観うめぇwwwwな人。
きつい少女に睨まれたい人。
世界観妄想好きな人。
綺麗な映像が好きな人。


そんな人は楽しめるんじゃないかと思います。

*1:疲れてなかったら絶対寝ない映画だっ

*2:性的なシーンもあるよ^−^